すっかり気が付かなかったけれど、一日中絶え間なく各種の情報を自動的に報告するメールやらバックアップファイルやらが届いていない。
これらの受け入れ先として設定しているのはGoogleの提供するGmailで、これを独自ドメインで利用している。
なぜGmailを利用するかといえば、管理コストから逃げ出すことができるからにほかならない。
サーバーを運用するだけのスキルは身に着けやすいかもしれない。しかし、適切に管理しようと思えば、各種セキュリティー情報からその対応などのソフトウェア的な面に対処しなければならないほか、サーバーに接続された回線や機械装置が故障する事にも備えなければならない。
意外にコストが掛かるのが、ハードウェア的な要素だ。本体を含め、ハードウェアは消耗品であり、常に故障することを前提にして構築して運用しなければならない。
以前目撃したある調査によれば、初心者ほどサポートに対する対価が適正でないという傾向が出ていた。平たく言うと、一言聞きたいだけなのに何故カネを払わなければならないのか、ということだろう。
逆に使用や経験年数に比例するように、これに対する対価が適正であるという傾向も出ていた。つまり、使っている人ほど多くの問題に直面し、この問題を解決するには自分の時間や金銭を消費するよりも、専門家に依頼して適正な対価を支払ったほうが結果として安上がりなことを自然と知るようだ。
更に専門的な運用をしなければならないサーバーについては、止まることが許されない。個人で構築した気軽なものであっても、サーバーを運用するからには自分に対しても信頼できる状態で有って欲しいし、まして公開するものであれば、利用者や検索エンジンによる評価が絡んでくるから、さらに止まることが許されない。
壊れるものであることと停止してはいけないということは矛盾しているように見える。一般的には信頼性の高い高額な専門的なシステムを利用して運用する事になるが、Googleはこういった常識をまるで逆に考え、安価なシステムで構築した。
Googleは膨大なコンピュータが稼働しているから、普通では考えられないほど多くのコンピュータが一日に故障する。それなのにサービスが停止しないのは、予め信頼性の低いシステムを利用しているから、耐障害性が高い構成を取り入れ、あるいは自ら開発している。つまり、壊れて当然、でも、止まらないというシステム構成になっていて、しかも安い部品を使っているということだ。
これに関しては本が書けるほど深い話だからこのへんで終わるとして、そういった稼働率の高いシステムが無料で提供されているのだから、使わない手はない。というわけで、何かにつけてGmailを絡めて利用する方法が様々な記事で書かれている。
Gmailは、無料で利用でき、容量が大きく、維持管理にコストを掛ける必要がなく、独自ドメインが利用でき、Webから利用でき、メールソフトから利用でき、スマートフォンから利用でき、メール以外の利用方法も盛りだくさん・・・と様々な良いことが詰め込まれている。特に大きな恩恵は、様々なロケーションで利用できることと、迷惑メールを殆ど蹴っ飛ばしてくれることだ。
ところが、本格的に利用していこうと思うと問題に当たることがある。恩恵であるはずの素晴らしい機能が、大きなお世話になってしまうことがある。迷惑メールに分類されるのは他の同様のシステムを提供するサービスプロバイダーでも同じだが、Gmailの場合はメールそのものが届かないという問題がある。
Googleの検索システムが検索語に対して素早く目的のウェブサイトを案内できるように考えられたアルゴリズムを持っているが、同様に優秀なアルゴリズムによって、送信されたメールが迷惑メールなのかどうかを詳しく分析する。
迷惑メールなら迷惑メールとして処理されるが、例えば迷惑メールを過剰に送信する(過小に送信ってあるのか?)サーバーからのメールを蹴っ飛ばす。これによって、そもそも迷惑メールが届かないという現象になり、迷惑メールと言えどもチェックしなければならない負担を軽減してくれる。
が、もし、自分が必要としているメールがそのように処理されてしまったらどうだろうか。あまり遭遇しないし、常に改良されているのだろうけれど、遭遇すると一大事だ。
迷惑メールをブラックリストというなら、受け取りたいメールはホワイトリストという。無料で利用できるGmailには、ブラックリストを作成できても、ホワイトリストを作成する機能はない(有償版では提供される)。
もし、適切に構築され、誰かに迷惑をかける様な処理をしないのは当然として、他の誰かに勝手に利用されるような事もないように対策して、さらにGoogleやメール機能のサービスプロバイダーが欲する上級の情報を適切に設定しても問題に遭遇してしまうことがある。
もし、遭遇してしまうと、何処に問題があるのかを確かめるだけで莫大なコストがかかる。すべてに問題がなかったとしても、結局できることはないから、緊急用の送受信できるメールアドレスを準備しておくほか、Gmail以外では送受信できるかなども確かめなければならない。
通常、メールが送信できなかった場合には、何らかのエラー通知が返されるが、中にはエラー通知さえ返さないサーバーもあるから、それこそブラックホールだ。エラーがないから送ったと主張する送信側と届いていないからという受信側の主張はどちらも正しい状態が存在する。
この問題は特に日本の携帯電話会社の無謀な動作によるところが大きい。枠組みを作ることは好きそうでありながら、国際的な取り決めを順次破っていくのは、型破りとは言えず、マナー違反と言える。
てなわけで、良いことも悪いことも確認する方法も対処する方法も膨大な数あるわけで、それらを確かめようとしたらそれこを一大事なのだ。こういう場合、人間は過去の経験を活かす事もできるが、逆に詳しくなればなるほどつまずきやすい。
今回は、すでに対応などで疲弊していて、過去に体験したことがあるから、容易に拒否されてしまったのだろうと決めつけた。ただ、同様の構築をしていても問題のないサーバーも複数あり、気がかりではあった。
ひょんなことから問題を抱えているサーバーの状態を確認したところ、なんと、その機能自体が停止していたことに気がついた。自分で停止したのか何らかの問題で停止してしまったのかまでは今のところ確認していないが、少なくとも機能を有効にした途端、Gmail宛に膨大な報告メールが到着した。
まー、たまたま見逃したというか目につかなかったとも言えるし、結局は何れチェックする場所ではあったけれど、過去の経験から「見当」を付け間違えてしまったわけだ。といっても、この処理に関するエラーが表示されないというメールを送信するシステム自体にも問題があるし、それをも知っていたから余計に確認しそびれたというか、後回しになってしまったわけだ。
Googleの所為にして。
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